キャラクター保護のススメ

 このサイトでは、キャラクター保護について、基本的な知識や一歩進んだノウハウをご提供します。

 最近では、全国各地でご当地キャラクターが登場し、各種イベントなどで活躍していますね。

 有名なところでは、ひこにゃん、せんとくん、など。

 キャラクターが有名になってくると、そのキャラクターが商売に利用される機会が増えてきます。

 例えば、ぬいぐるみやキーホルダーなどのキャラクターグッズ販売であったり、ご当地名物のお菓子などの包装にキャラクターを描いたり・・・。

 そして、悲しいことですが、キャラクターが有名になればなるほど、キャラクターが無断で利用されることも多くなります

 無断で類似商品を販売されたり、キャラクター名を使われたり・・・許せないですね。

 せっかく作り上げたキャラクターですから、他人の無断利用から守りたいというのは全てのキャラクター事業者に共通の思いではないでしょうか。

 では、キャラクターを守るためにどんな権利があるかご存じですか?

 商品化権?

 実は、商品化権という権利を明確に定めた法律はないのです。

 大事なキャラクターをしっかり保護するためには、著作権法、商標法、意匠法、不正競争防止法といった法律を適材適所で効果的に活用することが必要です。

 以下に、それぞれの法律がどのような守備範囲をもち、どのような場面でキャラクターを保護できるのかを詳しく解説します。

  1. 商品化権とは?
  2. 著作権法による保護
  3. 商標法による保護
  4. 意匠法による保護
  5. 不正競争防止法による保護

商品化権とは?

 始めに、商品化権と呼ばれている権利の実体をご説明します。

(1)実は、商品化権という権利はない?

 キャラクタービジネスの場面では、よく「商品化権」という言葉を耳にします。

 一般に、商品化権とは「漫画やアニメーションのキャラクターを商品や広告などに利用して経済的利益を得る権利」(大辞林[三省堂])といわれています。

 しかしこれは慣習的に用いられている用語に過ぎず、何か法律で定められた「商品化権」というものはないのです。

 「著作権とは何が違うの?」

 確かに著作権も関係します。しかし、それだけではカバーできないからこそ「商品化権」という概念が生まれたわけです。

 その実体は、著作権・商標権・意匠権といった知的財産権を「商品化権」という言葉でひとくくりにしているに過ぎないのです。

(2)契約はしっかりと!

 上記したように、「商品化権」という確固とした権利は存在しません。

 ですから、例えばキャラクターグッズを作って販売したいという人は、そのキャラクターに関する権利を持っている人との間でいろいろなことを決めておくことが必要となります。

 具体的には、“両者間できちんと契約を結ぶ必要がある”ということです。

 契約というと、対価が一番気になるとは思いますが、著作権・商標権・意匠権などの知的財産権の取り扱いについて、お互いに共通認識を持っていないと、トラブルの原因になります。

 知的財産権に関する条項は、曖昧にせず、当事者双方が納得できる形にとことん突き詰めて明文化しておきましょう。

 例えば、キャラクターを、どの商品についてどんな態様で利用するのか、いつからいつまで利用するのか、どこで利用するのか、どれくらい商品をいくらで販売するのか、といったことは最低限、契約に定めておくべき事項です。

(3)まとめ

 キャラクターグッズの権利関係を「商品化権」という概念でまとめること自体は、ビジネスを円滑に進める上で大事なことです。

 そして、「商品化権」の実体は、これまで説明しましたように、著作権・商標権・意匠権など、様々な知的財産権が絡んだ概念ですので、当事者間でしっかり契約を結んで整理しておきたいですね。

 知的財産権は無体財産権とも言われるように、目に見えない“権利”を扱うものですから、理解しにくい側面もあります。

 ですから、ビジネスを進めるにあたっては、弁理士弁護士などの専門家を上手に活用してソツのない契約をまとめるのが安全です。

著作権法による保護

 ここでは、著作権法によって保護できること、できないことをご説明します。

(1)著作権はキャラクターの原画にある!

 キャラクターは「漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念」といわれており、キャラクター自体に著作権はないと考えられています。

 しかし、「ひこにゃん」に関する報道など見ていますと「キャラクター」と「著作権」との関係が盛んに報道されていますね。

 これはどういうことなのか?

 実は、キャラクターの場合にはその原画が「美術の著作物」として著作権による保護が認められているケースが多いのです。キャラクターが描かれたTシャツであれば、キャラクターの原画にある著作権に基づき、保護を主張することができる、といった感じです。

(2)著作権も万能でない?

 著作権には、注意しなければならない点がたくさんあります。

①著作権は無方式主義

 無方式主義ということは、著作権を発生させるために面倒な手続きや費用をかけなくていいということです。つまり、著作権は著作物を創作をした時点で発生しますので、一見有利のように思えます。

 でも、第三者には、誰が著作物を創作したのか、いつ著作物を創作をしたかといったことは分かりませんよね。著作権による保護を主張しようとすると、これらを一から客観的に証明する必要があるのです。

 客観的に証明する必要がある、とはどういう意味か?

 単に、「私が創作した」、「****年に創作した」と主張しても客観的な証明にはならないということです。

 これに対して、「著作権を登録する制度を活用すればいい」と言う方もいらっしゃいます。

 しかし、著作権登録制度というのは、著作権の二重譲渡を防ぐのを主な目的として創設された制度ですので、誰が著作物を創作したのかといったこと自体の証拠作りには活用できません。

 ですから、著作権の発生に関係しそうな証拠は、ささいなものでも残しておきましょう。これが、キャラクター保護の大事な秘訣の1つです。

②著作権は相対権

 相対権ということは、同じような著作物であっても、別々に著作権が発生する可能性があるということです。つまり、たまたま同じような著作物を創作したことを相手方に証明されてしまうと、著作権を主張することはできません。

 逆に、あなたの著作物に対して誰かに著作権を主張されることさえあり得ます。

 最近の事例としては、キャラクターの事例ではないのですが、歌手の槇原敬之さんと漫画家の松本零士さんの裁判が思い出されますね。

 ですから、自分のキャラクターを守るには、相手の著作物とは無関係に自ら作り出したキャラクターであることが客観的にわかるように関係資料などを保存しておくことが重要になります。

③キャラクター商品自体の美術性

 美術性ということは、純粋美術や美術工芸品と同視することができるくらいのレベルが要求されるということです。

 純粋美術や美術工芸品と同視できる、とはどういう意味か?

 一般的には、美的鑑賞の対象となり得るものと考えられています。

 この美術性に関しては、キャラクター商品のような実用品について、説明を要求されることが多くなっています。

 ですから、キャラクター商品について著作権を主張する際は、美的鑑賞の対象となり得るということを説明できるよう準備しておきましょう。

(3)まとめ

 キャラクターの原画に基づく著作権は、その性質から、比較的保護を主張しやすいといえます。

 ただし、実際に保護が認められるまでには、思わぬ時間とコストがかかるのも事実です。

 ですから、他の法律(意匠法や商標法等)も複合的に活用し、キャラクターの保護を万全にしたいものですね。

商標法による保護

 ここでは、キャラクターについて商標権の観点から見ていきましょう。

 キャラクターの保護といえば、著作権で十分と考えていませんか? しかし、キャラクターを保護しようとしたときに、商標権が威力を発揮する場面が意外とあるのです。

(1)キャラクター名の商標登録は必須!

 一般に、キャラクター名は著作物とはいえません

 ですから、例えキャラクター名を無断で使用されたとしても、それに対して著作権で保護することはできません。

 例えば、黒猫の人形に「ひこにゃん」と名前をつけて販売されたら、困りますよね。しかし残念なことに、このような場面において著作権はほぼ無力です。

 それに対し、キャラクター名を商標登録しておけば、他人が無断でキャラクター名を使って何かグッズを販売することをやめさせることができます。

 どうですか?キャラクター名を商標登録しておくことには価値があると思いませんか?

 また、キャラクターの偽物グッズを販売しようとする業者は、多くの場合、キャラクター名をそのまま使おうとします。

 なぜって? まったく違うキャラクター名を付けてしまっては、偽物であることがバレバレで消費者が買ってくれないからです。だから、大抵はキャラクター名をそのまま使うか、ちょとだけ変えた類似のキャラクター名を使うことになります。

 商標登録をしておけば、キャラクター名そのものを使うことに加え、類似のキャラクター名を使うこともやめさせられます。

 このように、商標権って意外と頼もしいんですよ

 ですから、キャラクター名を思いついたら早めに商標登録を済ませておくことが、キャラクタービジネスをうまく進めるコツといえます。

(2)キャラクターの原画も商標登録?

 実は登録例が結構多いのです。

 なぜだと思いますか?

①商標権が方式主義であること

 方式主義ということは、商標権を発生させるために商標登録する必要があるということです。

 権利を発生させるために登録が必要ない著作権と比べると一見不利のように思えます。

 でも、商標登録するということは、誰が商標権者なのか、いつから商標権が発生したのか、一目瞭然ということなのです。

 しかも、特許庁の厳しい審査を経た上で商標登録されていますから、客観性も担保されているといえます。

②商標権が絶対権であること

 絶対権ということは、たまたま同じような商標になってしまったと主張しても、商標権の効力が及ぶということです。

 たまたま同じような著作物を創作した場合には権利の効力が及ばない著作権とは大きく違う点です。

③美術性が求められないこと

 商標登録をするためには、その商標をどのような商品に表示するのか指定する必要があります。商標をTシャツに表示するとすれば、「Tシャツ」を指定するという具合です。

 この場合、著作権のように、商標を表示したTシャツ自体に美術性を求められることはありません。

(3)まとめ

 商標権による保護を主張するには、商標登録し、商標権を発生させることが必要です。

 確かに専門知識も必要ですが、著作権にはない様々なメリットもあることから、活用しない手はありません。

 キャラクターのまがいものが出回ったときの損害に比べれば、商標登録に要するコストも微々たるものでしょう。

 また、キャラクター名はもちろん、キャラクターの原画も商標登録しておけばキャラクターをより効果的に保護できます。

意匠法による保護

 キャラクターについて意匠権の観点から見ていきましょう。

(1)意匠権ってそもそもなに?

 「意匠権」という言葉自体、もしかしたらあまり馴染みがないかも知れませんね。

 実は、意匠権というのは、なんらかの物品に適用できる新しいデザインに対して与えられる権利なのです。

 新しいキャラクターを考えて、それを「ぬいぐるみ」という物品(商品)とした場合を考えます。

 この場合、意匠法からみると、「ぬいぐるみ」という物品について新しいデザインを考え出したことになります。

(2)人形について意匠権を取得するメリットは?

 著作権による保護と対比することで意匠権を取得するメリットを説明します。

①意匠権が方式主義であること

 方式主義ということは、意匠権を発生させるために意匠登録する必要があるということです。

 権利を発生させるために登録が必要ない著作権と比べると一見不利のように思えます。

 でも、意匠登録するということは、誰が意匠権者なのか、いつから意匠権が発生したのか、一目瞭然ということなのです。

 しかも、特許庁の厳しい審査を経た上で意匠登録されていますから、客観性も担保されているといえます。

②意匠権が絶対権であること

 絶対権ということは、たまたま同じようなデザインになってしまったと主張しても、意匠権の効力が及ぶということです。

 たまたま同じような著作物を創作した場合には権利の効力が及ばない、著作権とは大きく違う点です。

③美術性が求められることはないこと

 意匠権も新しいデザインに対して与えられる権利ですので、ある程度の美しさが求められます。

 ただ、著作権による保護を求める際に要求されるような美術性まで求められることはありません。

 現実的には、意匠権取得に際して「美しさがあるかどうか?」と悩む必要はほぼありません。

 つまり、意匠権取得にハードルはそれほど高くないといえます。

(3)意匠権取得の注意点は?

 新しいデザインに対して与えられる権利ということは、キャラクターの発表前に手続きする必要があるということです。

 そのため、気がついたときはすでに意匠登録できなくなっているなんてこともあります。

 キャラクターが決まったら、公表してしまう前にキャラクターグッズの構想をまとめ、まずは意匠権を確保することがキャラクタービジネスを進めるコツの1つといえます。

不正競争防止法による保護

 キャラクターについて不正競争防止法の観点から見ていきましょう。

(1)最後の切り札!

 著作権による保護が認められず、商標権も意匠権も取得していなかったという場合、何も手段はないのでしょうか?

 そんな場合に考えられる最後の切り札が不正競争防止法による保護です。

(2)不正競争防止法による保護を主張する際の注意点は?

 典型的な不正競争行為として認めてもらうには、以下のような条件を満たす必要があります。

①お互いの商品等表示が似ていること

 商品等表示には、商標だけでなく、商品の容器や包装といったものも含まれます。

②あなたの商品等表示が広く知られていること

 日本全国的とまではいかなくても、ある程度の知名度が必要です。

③相手方の商品等表示があなたの商品等表示と間違えられる可能性があること

 間違えられる可能性があるからこそ、不正競争行為として取り締まる必要が出てくるわけです。

(3)デッドコピーも対象!

 最初の販売から3年以内と期間は限定されてしまいますが、デッドコピーも不正競争行為として取り締まりの対象となります。

 3年という条件からわかるように、意匠権を取得するまでの保護が手薄な期間を補うといった意味合いがあります。

 つまり、何も権利を取得しなくてもいいというわけではありませんので、不正競争防止法はあくまで最後の手段というスタンスで、商標権や意匠権もしっかり取得しておきましょう!